ボクもチベットには行ったコトがあるだけに、チベットの報道、固唾を呑んで見守っています。
ボクがチベットに行ったのは、99年のコト。
チョモランマ・ベースキャンプに植樹をすべく、世界初とも言うべき、「チベット・チョモランマ・バイク・ツーリング」に、レポーターとして参加したのです。
このツーリングの模様は、2000年の正月に、テレビ東京の「1本の苗木から~チヨモランマに息吹きを~」 という正月特番として、放送されました。
今回のチベット騒動。
チベットって、日本からじゃちょっと遠いし、イマイチ“ピンと来ない”方も多いと思うので、簡単に説明しますネ!
今回の騒乱の発端となったラサという場所。
ラサ市は、チベット最大の都市で、標高が約3650m。 チベットの玄関口でもあるのが、このラサ市。 チベット仏教の最大の聖地でもあるジョカン(大昭寺)や、世界遺産登録されている、チベット仏教繁栄の証でもある、ポタラ宮もあります。
このラサ(=チベット全体)に、1949年、中国共産党軍が侵攻し、占領。 自国に取り込んでしまい、チベット仏教最高指導者、ダライ・ラマ14世(1989年にノーベル平和賞・受賞)は、インドへ亡命を余儀なくされました。
現在チベットは、チベット自治区として、中国国内の一部…というコトになっています。
チベット族からすれば、中国(漢族)が勝手に攻め込んで来て、自分達の国を乗っ取った…という反感感情が根底にあります。
↑この辺りのコトは、とても複雑な問題なので、現地で口にするのは、トラブルの元だよ! と、チベット事情に詳しい友人から言われていました。
でもね、現地に入って、それは、強く感じました。
チョモランマ・ツーリングの途中でね、ボクと、マガジンハウスの小沢さんが、高山病でドクター・ストップになってしまい、本隊から離れ、高度の低い“ラサ”へ、いち早く返されてしまったのです。。。。
チベットではね、高度を上げて高山病になった時には、高度が一番低いこの“ラサ”に戻ってくるしかないんですね。
でもこの“ドクター・ストップ”が、通常の観光等では感じることの出来ない、貴重な体験となったのです。
というのも、本隊が戻ってくるまでの数日間、ホテルに缶詰状態となってしまい、その分、ラサ市内を散策したり…。(今回の騒動となった場所は、毎日のように散策していた場所でもあります。) ホテルのスタッフとも、とっても親しくなりました。(ホテルの犬もネ…)
特に、ホテルのレストランスタッフは、本隊から離れ、通訳がいないボクらにとっては、「何が美味しい?」「この漢字読めないけど、何?」 「どうやって食べるの?」などなど、毎食毎食コミュニケーションが不可欠!
1日3食ですからね。
ウエイター・ウエイトレスのスタッフはみんな若くて、18歳~23歳ぐらい。
『あっ!またあのヘンな日本人来た!』的な感じで、ボクと小沢さんがテーブルに着くと、みんな集まって来るんですよね。
総勢、25名くらいいたかな?
ちよっとシャイで、顔立ちが日本人に似ているのは、チベット族の娘達。 ハッキリとモノを言い、積極的なのは、漢族(中国人)の娘達。 (←男性スタッフも、数名いましたが…)
出世するには、少しでも多くの外国語を話せた方が有利ってのは言うまでもなく、“日本語”は、給料アップに繋がる言語だそうで、みんな日本語には興味津々。
しかもお客さんの方から話しかけて来るワケですからね。 これはチャンス! といわんばかり。
そのうち、彼女達の“賄い食”を分けてもらったり、一緒にペットボトル飲料やお菓子などを買い物に行ったり。 彼女達の出演する、チベット民族のショーのリハーサルに参加したり。 寮での生活風景をみせて貰ったり…。
でもね、普段の会話の中では、みんなとっても仲良くは見えるのですが、よくよく観察すると、全て取り仕切っているのは、漢族。 エライのも漢族。
友達のような関係の、10代20代の彼女達の社会の中にも、上下関係が有り、一応の“ワキマエ”としての、そんな関係図式が見えてきました!
でもチベット族の娘達は、みんな高い目標を持っていて、仕事から解放される夜11時半過ぎから、みんな勉強をしていたりしてね。
エライなぁ~~~。 としみじみ……。
だから、時間が合う時は、日本語をいっぱい教えてあげました!
ダライ・ラマ14世が、チベットから追放されて以来、ダライ・ラマを崇拝したり、写真を持っているだけで、チベット族の人は、処罰を受ける…と、聞いていました。
(重罪として罰せられる…と聞きました)
チベット族の彼女達は、ボクの持っている「地球の歩き方」(チベット編)に、ダライ・ラマ14世の写真を見つけると、漢族のスタッフが近くにいないコトを確認し、写真を見ながら、みんなで合掌しだしていました。
中には、「この写真を切り取って私に下さい!」と、真剣に言い出す娘まで…。
処罰されるのを分かっていて、写真を渡すワケにもいかず、コレには困りました。。。
日本へのAir mailを書き、切手を買うと、そこには戦闘機や戦車などの絵が描かれていました。 共産主義的な、絵でした。
ボクがチベットで出会った皆は、漢族、チベット族の民族関係なく、そして国の事情など関係なく、とっても良い人達ばかりでした。 (モチロン、漢族の人達の中にはとっても親切な人がいたり、仲良くなったりもネ!)
でもね、この切手の絵柄を見た時、改めて「そういう国なんだよなぁ~」と、思い知った次第です。
今回のチベット情勢の報道を見て、あの娘達は大丈夫かな? この騒動をきっかけに、チベット族と、漢族の隔たりが増してしまうのかな…? と、とっても心配しています……。
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